横濱プロバス倶楽部     楽しくなければプロバスではない    
戻る 会  員  放  談  2022年9月9日(金)
12:00~14:00 会場:
YBS南幸ビル9F  

倉嶋 康 氏

2018年2月 森山会員の紹介で入会 
会員番号 109  

  業   種     ジャーナリスト
  主な経歴     毎日新聞社
  出 身 地      長野県
  趣    味     創作凧作り凧揚げ

 
 

  テーマ 「ユネスコの記憶遺産になる諏訪メモ」

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① 人生の因縁話;森山会員(入会推薦者、本日の放談推薦者)との付き合いの因縁
   1998年の長野冬季オリンピックが次の2002年ソルトレーク五輪へあてた「地球環境メッセージ」を、私が自転車を
   使って2年がかりで米国へ届けました。自転車が地球温暖化防止に役立つことを知って、帰国後長野市で自転車を
   無料で貸す市民運動を展開しました。これを視察にきた森山会員と知り合い、その後相模原へ夫婦で転居した時、森
   山さんに勧められて横濱プロバス倶楽部に入会したのです。自転車が皆さまとのご縁を結びました。

② 毎日新聞への入社と松川事件
   さて、昭和24年(1949年)8月17日の、日本占領下で発生した松川事件は、下山事件などと共に米国の謀略(松本清
   張)とも言われた謎の事件でした。当時は朝鮮戦争の直前で、労働運動も激しく、これをつぶす謀略があったと言わ
   れたのです。
   松川事件の被告20人は1審全員有罪、2審3人無罪で、17人が上告中に私は毎日新聞入社試験を受け、2回落ちま
   した。しかし新聞社のエレベーターで偶然会った女性社員から「肺結核の疑い」で不採用になったことを聞き付け、人
   事部に健康を証明するX線フィルムを持って行き即採用となりました。
   1955年、私は松川事件発生の地福島にある支局配属となり、下宿近くの銭湯で一緒になった2審無罪の斎藤千さん
   と親しくなり、松川事件を勉強することになりました。そして、この人から「+死刑被告の1人佐藤一のアリバイを
   発見できるかも」との情報を得ました。

③ 「アリバイ」の追求と「これはモノになる!」
   確認のため松川事件担当弁護人の一人、安田弁護士を突撃取材し、弁護士がトイレに行った間に、机上の事件関
   係書類を見ると「列車転覆共同謀議があったという時間に、佐藤被告は全く離れた労使団交の席にいた」という記載
   を発見したのです。その記録を「会社側は当局に提出したと言っている」という内容でした。

④ 「団体交渉の記録(アリバイ証明)を探そう!」
   それからは連日検察庁に張り込み、宮本彦仙検事正に取材、遂に佐藤被告のアリバイを立証する記録「諏訪メモ」
   を検察側が隠していることを突き止め、毎日新聞の特ダネ記事にしました。この記事が決め手となり、最高裁で被告
   17人は全員無罪となったのでした。

⑤ 「ユネスコ記憶遺産」申請
   この話を最近フェイスブックに連載した結果、あちこちの記事になり、本としてまとめられ、諏訪メモを「世界記憶遺
   産」として登録するよう全国的な運動が起きています。自分の90年を思い返せば、私があの時毎日本社のエレベー
   ターに乗らなければ、また下宿に風呂があったら銭湯で齋藤元被告に会わなかったなど、人生は偶然が積み重ねら
   れ、人との出会いが社会を動かして行くものだと痛感いたします。いま私は同年の元朝日新聞記者と米国公文書館
   に松川事件の記録を探しに行こうと話し合っています。