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戻る 第176回 10月時例会会員放談   2016年10月14日
進交会館
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前回(2015年7月例会)、銀行で現金が合わなかった時のお話をしたと思います。
「手元の現金が不足する場合は銀行の損となるので良しとするが、現金が余っ  
しまった場合はお客様の損となるので問題です」 このような話であったと思います。今回は、「銀行の貸出(融資)と最近の金融情勢」についてお話ししたいと思います。
業務は大きく分けて三つの業務があります。
一つがお客様からお金を預かる預金業務、   二つ目がお金を融資する貸出業務、
  そして三つめがお金を移動(振込)する為替業務です。   
 銀行の収益面からみると、融資で利益の大半を上げております。融資による収益は資金収益と言って、利益額の約75%~80%を占めています。
次が役務収益(手数料収益)で20%~25%となっております。具体的には、預金で資金の仕入れをし、融資で資金の販売をすることです。この預金と融資の金利差で収益を上げているわけです。ですから、「他人のふんどしで商売をしやがって」と言われるわけです。
私も若かりし頃、随分と勉強させられました。融資に不可欠の審査業務を徹底的に叩き込まれたものです。これにより審査力の強化、所謂「目利き」が養われるのです。この頃は、この審査力が落ちてきています。バブルの時期前後からスコアリング融資(貸出先を売上、利益等を点数化し融資の可否を決める)が主体になり、最近ではAI(人工知能)で判断? ペッパ-君みたいなロボットに向き合わされ、申込み内容を言わされ(入力させられ?)、挙句に「条件に合いません。お引き取りください。」ということになりかねません。
本当にとんでもない時代になりそうです。
この結果、年々銀行員の審査力が落ち、銀行の収益に大きな影を落とすことになりそうです。
一方、今起きている「マイナス金利」とはどういうことなのか?私たちに影響はあるのでしょうか?日本の金融政策には三つの主要政策があります。一つ目が「公定歩合」。これは金利政策ですが、金融市場の自由化により今では使われておりません。
二つ目が「公開市場操作」。これは国債を売買することで市場の通貨を増減させ、物価の安定を目論むものです。物価が上昇気味になれば国債を売却し市場の通貨を減らし、下降気味になれば国債を購入して通貨を増やしインフレに誘導するのです。
三つめが「準備預金制度」と言われるもので、メガバンク等市中銀行が日銀に一定率の資金を預ける制度です。現在、銀行の資金量(預金量)の1.2~1.3%程度が日銀に預け入れることを義務付けられており、その金利は0.1%となっております。また、この一定率を超える資金の預け入れも可能でした。   しかし今年の1月から、この一定率を超える資金の預け入れについては0.1%のマイナス金利が課されることになったのです(日銀に0.1%の金利を払う)。  これにより政府は、銀行の余裕資金を融資に向かわせようとしたのです。
ところが今のところ銀行の融資の増加には結びついていないようです。 
  世間は少子高齢化や雇用不安等の先行き不安で消費増、投資意欲改善とはいかないようです。インフレタ-ゲット2%はなかなか厳しそうです。 
では、これにより銀行業界はどうなってゆくのでしょうか?
先程、「銀行の審査力が落ちてきている」「目利きが出来なくなってきている」といいましたが、銀行が融資先を見つけられなくなってきているのです。成長力のある企業はあるのか? どの会社が技術力、開発力をもっているのか?地域の中でこれが出来なければ銀行は見放されてしまいます。
銀行は、まさに構造不況業種へと突き進んでいるのです。
そうすると銀行はどういう行動をとるのでしょうか? 私たちへの影響はあるのでしょうか?銀行では融資が伸び悩み、収益が減れば、それをカバ-することを考えます。そうです。収益確保のため手数料収入の拡大を図るのです。即ち、ATM手数料の値上げ、為替手数料の値上げ、貸金庫預かり料の値上げと続くでしょう。そして新たな手数料として「口座管理料」の新設もあると思います。
 1千万口座で@1千円の管理料をとればあっという間に百億円の増収です。お~怖い。ここに「金融庁の長官が進める大改革」について書かれた本があります。題して「捨てられる銀行」。すでに10万部も売れているようです。50万人ともいわれる全国の銀行員の間で大評判のようです。ご興味のある方は是非お読みください。そう、今のような状況が続くと、ここ10年くらいで銀行は半減するかもしれません。 
現在、メガバンク3行、地方銀行60行、第2地方銀行(旧相互銀行)50行等、全体で120行ほどありますが、50~60行程になってしまうことでしょう。地方銀行では各地で経営統合が進んでいます。
 今年の4月に横浜銀行と東日本銀行が経営統合し「コンコルディアファイナンシャルグル-プ」に、10月1日に常陽銀行と足利銀行が経営統合し「めぶきHD」に、そして来年の4月にはふくおかFGと十八銀行の経営統合が予定されております。生き残りをかけた厳しい競争が始まっているのです。私の出身行が生き残ることを願って話を終えます。ご清聴ありがとうございました。